マイノリティのチカラ

「世間一般」とはなんとも定義しがたい言葉ですね。
別の世界で生きていると思われている人がいます。
俗にいうマジョリティーからみた「マイノリティ」の人です。

その人間=マジョリティは時々、毒を吐きます。
世間の人はとても世間体を気にするので、ここ一番でしか毒を吐きませんが、
いざとなれば巨大な毒入り言葉をマイノリティに投げかけます。
たとえば、こんな風に。
「障がいのある者たちが市場に参加することは似つかわしくない、
彼らは我々(マジョリティ)が保護する対象だよね、というか、
それ以前に市場は彼らを必要としているのか?きっとしてないよね、
無理でしょ。たぶん、無理」と。

インカーブが市場に参加し始めたのはインカーブが誕生した年度末。
たしか12年前だったと思います。
まずは国内のミューアムショップでグッズを販売し、次いでNYで作品を発表。
そして、国内の現代美術館で展覧会を行い、
ようやく3年ほど前から本格的に現代美術を扱うアートフェアという市場に参戦し、
インカーブ単独のブースを出展するに至ります。
誕生した直後は世間一般の毒にモウロウとしていましたが、
徐々に薄まってきました。

今週末からインカーブの地元・大阪で開催される「アート大阪」に出展します。
対外的には「乞うご期待!!」って話していますが、
僕のお腹の中には隠れた企みが二つあります。
まず第一の企みは「新しいスター」を見つけることです。
「アート大阪」から東京やNYのアートフェアに選出されることを期待して、
インカーブが出展した数回のアートフェアでは選ばれなかったアーティストや、
選出されたけど僕が思うほどお客様の評価が得られなかったアーティストを中心
出品します。
第二の企みは「若手スタッフ(といっても5年目ですが)」に
市場の最前線でインカーブが行ってることを肌で感じてもらうことです。
作品説明から値段交渉まで矢面に立つのは、お初です。
ヘトヘトになると思いますが踏ん張ってもらいます。
インカーブらしいスタッフになる第一歩!
ガンバレ!!

現代美術を中心としたアートフェアに参加する福祉施設は皆無です。
……何故でしょう!?
そもそもチカラ不足だと思っているから?
そのチカラ不足はアーティストの作品のレベルが低いから?
それとも?

僕はこう考えます。
決してアーティストたちのチカラ不足ではありません。
チカラがない(理解がないが正解かな)のはお金と人事権を握る施設の長。
そして無抵抗なスタッフ君だと思います。
そのチカラとはアーティストたちの作品をこよなく愛するチカラだとも言えます。
自信をもって、そばにいるアーティストたちを信じて、
世間一般の毒に立ち向かってください。
いつまでも福祉の保育器の中では世間一般の評価は得られません。
普通の場所で、普通に戦うことを忘れては、アーティストたちの黒子ではありません。

あなたは「市場だけが全てではありません」というかも。
はい、よくかります。
ただ、障がいのあるアーティストたちを置き去りにし、
ないがしろにしてきた最も顕著な場所が市場ではなかったですか。
作品たちはバザーで安価に販売されることをどう思ってるんでしょう。

市場の扉を開いていくことは、とても困難です。でも、意味があります。

質問、デザインについて

質問れることで、学び直したり、勘違いしている自分を戒めたりできるものです。
最近、こんな質問を受けました「ソーシャルデザインってなんか変な言葉やと思いますねん…
わざわざソーシャルなんてつける必要があるんですか……社会性のないデザインってあるんすか?」
なるほど。そこに疑問を呈する関西弁丸出しの、この子(彼・高校生)はエラすぎる!!

そこで僕は「ソーシャルデザイン」なんてややこしい話しより、
僕が理解している「デザイン」についてお話しました。
「デザインっていうのは、社会的に困ったな〜とか、苦しいな〜とか、
いろんなシンドイことや気持ち悪いことに対して、その問題のキモを見つけて、
世に投げかけ、その解決策を実行することと違うかな」
つまり「デザインって社会で生きる人も動物も植物も含めて幸せになるための企て。
金持ちの会社や個人を太らせるだけがデザイナーのお役目と違うと思うで」
なんてエラそうなことを言ってると、
エラすぎる彼は「ほなら、ソーシャルデザインなんて何んで言うの?デザインでいいのと違うん?」
はい、その通り、あんたはやっぱりエラすする!!!

僕から彼に「僕がやってる福祉っていうのもデザインやと思うねん、君はどう思う?」

彼曰く。
「社会的に困ったな〜とか、苦しいな〜とか、いろんなシンドイことや気持ち悪いことに対して、
その問題のキモを見つけて、世に投げかけ、その解決策を実行することも福祉やと思うし、
そういう意味ではデザインやろな」
はい、ありがとう。福祉とはデザインなのです。ここまで書いて、ある質問を思い出しました。

「アートとデザインはどう違うんですか?」
発信元はデザイナーやアーティスト、
福祉のアート制作の現場にいる黒子スタッフなどなど。
みなさん、アートとデザインの線引きに真面目に悩んでいる方々です。

近年、デザインのように気配りしすぎるアートが多いと思いませんか?
アートのように独りよがりのデザインが多いと思いませんか?
僕はデザインとアートの境界を曖昧にすることは
お互いの首を絞めることだと思っています。
(融合してこそ未来は開ける!と説かれる方々も多いのですが)

ブルーノ・ムナーリ著『芸術家とデザイナー』は「アートとデザインの違い」について答えてくれます。

僕にとっては名著です。

m

お母ちゃん、喜んでいます

お母ちゃんの一回忌を終えて、そろそろ一ヶ月。
いまだに命日を覚えてくださってる方がいはります。

人様から気にかけてもらってることは、なによりも幸せです。
ただ愛想だけで群がる百人より、親身になってくれはる一人。
歳を重ねると、その一人が二人にならへんかなとか、
片手ぐらいにならへんかなって、欲の深い自分がいます。
でも、一人でもいてくれはったら、前をむいて生きていけるんでしょうね。
半世紀生きてきて、そう思うようになりました。

お浄土にいっても人様から気にかけてもらって、ほんま幸せなお母ちゃん。
小野さん、あやみさん、ありがとうさんです。
お母ちゃん、喜んでます。
IMG_1164

こんなウワサを聞きました。
「インカーブに入るための障がい者むけ画塾がある」らしい。
「インカーブに入るには試験があってかなり難しい」らしい。

僕もインカーブのスタッフもウワサの画塾を知りません。
インカーブに入る為に絵の試験をするなんてありえません。
なので、「かなり難しい」はずがありません。
いまインカーブに在籍する26名のアーティストたちは制作が大好きで、
バスや自転車で通ってこられる地域の方々です。

もし、ウワサの画塾に通われているアーティストをご存知なら、
話してあげてくださいませんか。
「インカーブに入るための試験なんてない」よって。
「制作することが好きなら入れる」よって。
「ただ、定員が一杯らしい」よって。

もし、画塾を運営されている方をご存知なら、
話してあげてくださいませんか。
「嘘、言うたら、あかん」よって。

ただ、このようなウワサが流れるのも
「インカーブに入りにくい」からだと思います。
定員が一杯なんです。
時々、引っ越しされたり、入院されたりで退所されますが、
3年に1人いるか・いないかです。

「アーティストとして軌道にのった方から
個人のアトリエを作って独立していく」ことがインカーブの目標の一つです。
しかし、軌道にのったアーティストたちに「独立」話しをしても、
「絶対、インカーブを離れるのはイヤヤ」→「毎日、スタッフは通いで○○さんのアトリエに行くし、
お昼ご飯もインカーブに食べにきてもええねんで」→「でも、なにがなんでもイヤヤ」。
僕もスタッフも「インカーブを好いてくれはる」ことは嬉しいことなのです。
ただ、これでは新しいアーティストを迎えることはできません。

たくさんの方々から「アトリエインカーブ2をつくってくださいな」ってお話をいただきます。
最大の難問はココロザシとスキルをもつスタッフを育て、配置できるか否か、です。
今週のミィーティングでは「10年後、20年後のインカーブのお役目をイメージしてほしい。
そして、個人としてどのように生きていきたいのかも考えてほしい」とスタッフにお伝えしました。
いつか「暖簾わけ」をして「アトリエインカーブ2をつくってくださいな」って
バトンを渡すことになるかもしれませんね。

IMG_0700IMG_0696 2

インカーブの玄関にそっと置かれた紙袋にに
ウルトラマンと仮面ライダーとアトム君が入っていました。
51歳の僕にとっては永遠のヒーローたちです。

3人とも完璧に強いヒーローではありません。
時には弱くて、どことなく悲しくて、涙もろくて、悩みをいっぱい抱えて。
それでも精一杯、頑張って。
昭和のヒーローっていいですね。
彼らと一緒に51歳のスタートがきれるなんて嬉しいです。

送り主はやまなみ工房の山下さんさんとRISSI INC.の笠谷さん。
僕は何もにもさせてもらってないのに……気を使わせてごめんね。
また彼らに会いに来てください。
ありがとう。
URUTORARAIDA

前のページ 次のページページのトップ