雑誌『美術手帖』の10月号新着BOOKリストのなかで
「注目の新刊」として『アトリエ インカーブ物語』をご紹介いただきました。
発売から日も経っているのにありがたいことです。
拙著と一緒に紹介された『芸術とその対象』(リチャード・ウォルハイム=著)と
『芸術祭の危機管理 表現の自由を守るマネジメント』(吉田隆之=著)も手強そうですが、
秋の長い夜に挑んでみたいと思います。
https://bijutsutecho.com/magazine/insight/22888
「知的障がいを持つアーティストを支援する「アトリエ インカーブ」の活動を、
立上げ人である今中博之が自身の半生を振り返りながら紹介する1冊。
デザイナーとして活動し、自らも障がいを持つ著者によるデザイン論・アート論である。
「閉じながら開く」ことを説く福祉論・行政論という性格も持っており、
様々なかたちで思考を触発する。全体の筆致は柔らかいものの、
障がいを持つアーティストによる作品を「アウトサイダー・アート」という
狭い領域に押し込めてしまうことに対する批判など、鋭い指摘が光る。(岡)」
今年、最後の書き物。
本ではなく(まぁまぁ長めの)論文です。
「一人ひとりで、共に」「われわれのわれ」にどこまで迫れるのだろう、と思いつつ。
zoom講演が本格化する前にやろう、
年賀状書きに追われる前にやろう、
冬が来る前にやろう、
「皮算用してるまえに、すぐに書き出したまえ」。
先生、その通りであります!冬はもうすぐである。
私には滲みるムービです。
「われわれのわれ」ということを考えているのだと
科学史の教鞭をとられている小松美彦さんがどこかで書いていました。
でも、まだ、これだという言葉が見つからないのだとも。
そのヒントがこのムービにありそうに思うのです。
「生活困窮者が集まる東京・山谷で、カナダ人男性・ジャンさんが見つけた本当の家族とは?」
深田志穂ビジュアルジャーナリスト
連日、拙著絡みの連投ですみません。
10月号の美術手帖で『アトリエ インカーブ物語』のレビューが掲載されていました。
評価者は美術史研究の岡俊一郎さんです。
「『閉じながら開く』ことを説く福祉論・行政論という性格も持っており、
様々なかたちで思考を触発する。全体の筆致は柔らかいものの、
障がいを持つアーティストによる作品を『アウトサイダー・アート』という
狭い領域に押し込めてしまうことに対する批判など、鋭い指摘が光る」。
この拙著に関して”筆致は柔らかい”と言われたことが無いので、半分嬉しく、半分ホッ。
ところで、10月号の美術手帖のテーマは「ポスト資本主義とアート」です。
冒頭でいま乗ってるマルクス・ガブリエルから
「アートの機能は道徳的な進歩に貢献することにあるという、
啓蒙主義のシーラーの考えを諦めてはいけない」という話を引き出し、
ついで白井聡さんのマルクス的下部構造とアートの話に展開。
贈与など、等価交換でないものを評価し、感情まで資本主義に食われるな!
ポスト資本主義は贈与の連鎖から生まれる、というのが落とし所でした。
その批判対象となるのが(お決まりの)村上隆さんの
「芸術家はアートと価値発生のメカニズムを上手に利用せよ」とぶち上げた芸術起業論。
資本主義社会でアートの「価値」はどう決定されるのか?
秋の長めの夜にマルセル・モースの『贈与論』、ジョン・ラスキンの『ゴシックの本質』を選びました。
拙著『壁はいらない(心のバリアフリー)、って言われても。』が
日本フィランソロピー協会(Philanthropy No.400)でご紹介いただきました。
「コロナ禍で、だれも一人ぼっちを経験したいま、
壁のなかに籠り自分を守ることと『共に』生きることの意味を考える」とレビューが始まります。
『壁』の本を書き終えて2ヶ月ちょっと。
メールやお手紙、Amazonのレビューでいただいた感想を反芻しています。
書いたことが、気持ちいいほど揺らいだり、壊れたりしています。
一方で、言葉にならなかったことがオデキぐらいの大きさに成長したりもしています。
みなさん、ありがとうございます、感謝です。
http://incurve.jp/archives/za_201001philan.html