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魔法の一言

新木画伯、本年度最後の講演へ。
昨年に続き、東大阪市立枚岡中学校の1年生約170名のみなさんと、
講演&ワークショップの時間を過ごしました。
前半は、新木さんの中学時代から現在の活動までを、映像も交えてお届け。
後半は「乗馬」をモチーフに制作し、新木さんが「これ、気になる!」作品をピックアップしました。
そして——「楽しく描いてね」その魔法の一言で、
子どもたちの色づかいも筆致も、みるみる自由になりました。
固まった頭と身体を開放する力。
それは私ではなく、新木さんだからできることなんだと、改めて感じた一日でした。
画伯はすごい。

本年度最後の講演に行ってきました。
大阪府立天王寺高等学校の1年生約360名のみなさんに向けて、
「弱くなれる力 ― 強さと弱さを見直す ―」をテーマに講演を行いました。
今回で3年連続。
人権や社会との関わりを考える時間として、毎年こうして場を用意してくださることに、
あらためて感謝しています。

講演は、「強さ」と「弱さ」をいったん捉え直すところから始めました。
そこで私が問い直したのは、「弱くなれる力」とは何か、ということ。
それは、ただ折れることではありません。意志をもって、自分の弱さを引き受ける力。
逃げでも諦めでもなく、能動的に選び取る“弱さ”です。

日々の学業や部活の中で「強くあろう」
と努力を重ねてきた生徒たちの姿勢には、心から敬意を感じます。
だからこそ、限界を感じたときに「助けて」と言えることもまた、ひとつの強さではないか
——そんな話もしました。挫折や失敗の経験の先にこそ、他者への配慮と、
自分を内省する力としての「弱くなれる力」が育っていく。私はそう信じています。

講演後は、生徒さんや先生方から1時間以上にわたって個別の質問が続きました。
家庭や友人関係、チームやリーダーのことなど、身近な体験に根ざした問いが多く、
社会の中での自分の役割をめぐって葛藤しながらも、
考え続けようとする姿が強く印象に残りました。

どこの高校でもそうですが、私がいちばんエネルギーを使うのは、
講演本番よりもむしろ、講演後の個別質問の時間です。
そこで手を抜くと、たぶん答えられない。
自分の言葉の浅さが、その場で露呈してしまう。
だから、ありったけを出し切ります。

たとえば、こんな問いがありました。
「私には脳性麻痺の姉がいます。姉は寝たきりで、自分から『助けて』と言えません。
助けたい、力になりたいと思うのに、姉の気持ちに気づけない自分がいて悩んでいます。
どうすればいいですか?」

私はこう返しました。
「今、この部屋の中で“声なき声”にいちばん気づける可能性があるのは、たぶんあなたです。
理由は単純で、あなたにはその『機会』が多かったから。
言葉で発信していない人への敏感さや瞬発力は、経験の量に比例して育っていく。
そういう機会を多く持って生きてきたこと自体が、人生の上で大きなアドバンテージです。
もしそのアドバンテージに気づけたなら、これからは“選ばれた方向”で、
自分の行動を組み立てていけばいいと思う。」

来年度もまた、高校生の君たちと話がしたいです。

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