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真面目な戸惑い

アール・ブリュット・ジャポネ展を三者で語ることは
「熊本のみならず九州の福祉関係者、アートに関わる者にとってターニングポイントになる
連続講演になったのではないかと思っている」そう述懐する主は熊本市現代美術館の蔵座江美主任学芸員。
語った三者は財団法人奈良たんぽぽの家 理事長・播磨靖夫さんと志賀県社会福祉事業団 理事長・北岡賢剛
さん、そして今中博之。もう二度と同じリングに上がることはない(と思われる)三者です。

蔵座さんがインカーブを訪れてくださったのは、確か去年の春。
「アール・ブリュット・ジャポネ展の巡回展を熊本市現代美術館で行う事になりました!
ぜひ講演をお願いしたいのです」とお話をいただきました。
矢継ぎ早に「きっと障がい者の作品をカテゴライズするアール・ブリュットなんてインカーブの
活動や考え方とは真逆の試みだと思います、だからこそ、話しをしてほしいのです」
というようなお話しも。
その時点で僕の気性もインカーブの取組みも蔵座さんはお見通しだと感じました。

そんな女性を前にするとイジメたくなるのが僕の悪いS癖。
「そこまでインカーブのことを知ってはるなら、
僕よりもっとアール・ブリュットを雄弁に語れる研究者や実践者がいはりますやろ。
そもそも、アール・ブリュット・ジャポネの展覧会を楽しみにして来てはるお客さんに対して、
この展覧会はアール・ブリュットではなくてアール・ブリュット「風」ですよ、
なんていらんことを言うて気を悪くさせる必要はないでしょ」と関西弁を駆使して遊撃。

そして、その年の秋。2回戦がスタートしました。
前回同様、わざわざ熊本から大阪までお越し頂き、熱心に口説いていただきました。
そこまで女性に口説かれるのはまずないので、ここいらで降参。
でも蔵座さんの「真面目な戸惑い」はここからスタートしたようです。
そもそもアール・ブリュットとは何か?現代美術館で行う意味はあるのか?
アール・ブリュットは現代美術なのか?学芸員として何をなすべきか?
今度は僕から矢継ぎ早に質問をしました。蔵座さんは僕の素朴な質問に真面目に戸惑っていました。
その戸惑いを見て「この方となら意味のある講演会が作れる」と思ったのでした。

そして最近、より強く思うのです。
「アール・ブリュット」を肯定したり、否定したり、その他だったり。
きっと、三者の立ち位置は相変わらずだけど、「元(もと)はひとつ」ではないかと。
つまり「障がい×アート」に寄せる原点は同じではないかと思うのです。
ただアール・ブリュットというテーゼを確率したいだけ、ではないはずです。
ただ現代アートとして市場に挑戦したいだけ、ではないはずです。
フェリシモ率いる矢崎さんの言葉を借りれば「ともにしあわせになるしあわせ」を実現したい。
その原点は同じのはずです、きっと。

障がい者が描けばすべてアール・ブリュットと言われるご時世です。
福祉施設の方々も横文字を出されると「障がい者アートというより何となくカッコイイ、
ようわからんけど、まぁええか」と妙な納得感と安心感をもつのも事実。
そんななかで蔵座さんの「真面目な戸惑い」は「熊本のみならず九州の福祉関係者、
アートに関わる者にとって」大きな光になったはず。
川の急流に飲まれる前に、そして逆らう前に、冷静に川の流れを確かめる事が必要です。
あなたにとっても僕にとっても「障がい×アート」を考えるリアルな言葉がここにあるように思うのです。
蔵座さんの「真面目な戸惑い」を誘った三者の講演会録をぜひお読みください。
(ちなみに僕の講演は100%関西弁です。読みにくいかもしれません、いや読みにくいです。アシカラズです)

「アール・ブリュット・ジャポネ展 熊本巡回記念 連続講演会録(非売品)」
をご希望の方はこちらまで。

本代・送料無料でお送りいただけます。
ご希望の方は、熊本市現代美術館 学芸員 蔵座江美さん
アドレスは「gamadas@camk.or.jp」
http://www.camk.or.jp/event/exhibition/japonais/

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僕の年齢に追いついたんや

昨日の出来事2/2。
今中曰く「僕が38歳のころ、僕は何をしてたんかな?」
神谷曰く「僕はインカーブの設計をしてたでしょ、また忘れたんですか!」
今中「あ、そっか」

僕の相棒・神谷梢も昨日で38歳になりました。
ちょうどインカーブを立上げようとしていた僕の年齢に追いついたんやね。
陰になり日向になり、ええ案配でそばにいててれて、ありがと。
いろんなことがありすぎたけど、でも、ええ案配でした、ありがと。
kamitani

グローバル人材は自ら育つ

昨日の出来事1/2。
朝日新聞(2014.08.26朝刊)の「耕論」で東京大学の松井彰彦教授(理論経済学)が
インカーブのアーティスト・寺尾勝広を取り上げてくださいました。
http://incurve.jp/artists/artists_terao.html
松井さんの問題定義はこうです。
政府の「グローバル人材の育成」は
「経済社会の発達に貢献することを目的」にすべきものなのか?
そもそもグローバル人材とは何なのか?
そして、松井さんの考えは「経済社会の発達に貢献することを目的に、
グローバルな舞台に積極的に挑戦し世界に活躍できる人材の育成を図るため」
だけではないと。
「強制では、グローバル人材は育たない」かつ「グローバル人材は、
渡航を目指すトップ層の人間だけには限らない」とも。

つまりグローバル人材とは
「アベノミクスのいうグローバル人材は成長戦略に貢献する人材」だけではなく、
「世界を舞台に自分の運命を切り拓く人間であり、日本よりも世界を見据える人間である」と。
松井さんはグローバル人材の雛形をインカーブのアーティスト・寺尾勝広に感じられたようです。
「グローバル人材は自ら育つ」ぜひお読みください。
http://incurve.jp/archives/shin_140826asahi.html
140826asahi
TERAO

林智樹の小さなコレクション展

インカーブスタッフの林智樹が小さななコレクション展をします!
って昨日のミィーティングで初めて聞きました。
そこでこんな話が。
スタッフA:「なんでもっと早く言わへんの〜今週の日曜日やん」
林智樹:「なんか、とてつもなくこっぱずかしいし……」
スタッフB:「ちゃんと、言いやー、水臭いな」
林智樹:「なんか、とてつもなくこっぱずかしいし……」

林智樹がこっそり集めた宝物が展示されます。
お時間があえばぜひみてやってください。
こっそりトークもするそうです。
スタッフC:「ほな、トーク聞きにいこっとっと」
林智樹:「なんか、とてつもなくこっぱずかしいし…………絶対来ちゃダメです」
鰺坂さん、iTohenさん、いつもありがとうございます。
こっそり、見にいきます。
http://www.skky.info/itohen/map/index.html
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tenji

あるがままの姿

「あるがままの姿こそ、強い」って無敵ですよね。
あるがままでいることは、全身に毒が廻った僕にはできそうにありません。
だから、あるがままの姿を見てみたいし、触れてみたい。
そんな欲望が頭の中を支配します。
インカーブを作りたいと思ったのもそんな欲だったかもしれません。

今日、フェリシモの矢崎さんからお知らせが届きました。
「あるがままの姿こそ、強い。このりんごたちが教えててれます」
「奇跡のリンゴ」の木村秋則さんと僕の大好きな「フェリシモ」がタッグを組く
「あるがままの姿のお野菜」を届けてくれるプロジェクトがスタートしました。

「木村式自然栽培の農法は、農薬や化学肥料を使用しないで、自然の摂理をそのまま受け入れることと、
土壌のバクテリアや虫たちとの共存、農産物と雑草の関係も詳細に研究し、農産物が成長するための
「自然の声」を謙虚に聞きとることで、人は何をするべきかを素直に判断できるようになることです。
決して、人の手で自然の生態系を破壊する方向を選択することが無いように、自然そのものをしっかり
見ることから始まります(サイトより)」

僕は30歳のころ酷いアトピー症状が全身に出ていました。
特に首は象皮といわれ、皮膚がカチカチになってしまいました。
一週間の晩ご飯は某食品会社のレトルトばっかり。カレー→クリームシチュー→グラタン
→ハヤシライスの繰り返しでした。それも食する時間は残業が終わった夜22時以降。
これではアトピーになるわけです。
痛い目にあってようやく気づいたんです「食って、一番大切」だと。
それから農薬のこと、添加物のことが気になり始めました。そして数年たってアトピーが治りました。

来月、インカーブのスタッフ達と「木村秋則さんの農場で自然とともに育った十種類の野菜たち」をいただきます。
そして自然のこと、経済のこと、流通のことを話してみます。
経済優先の片棒をながく担いできた僕が今できることは、食について真面目に考え、
優先順位を整理整頓することだと思っています。

フェリシモ

http://www.felissimo.co.jp/food/selection/v1/cfm/products_list001.cfm?wk=15891
木村秋則自然栽培農学校

http://www.ak-hokkaido.jp/


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