「知的障害者ではなく芸術家」

今朝の朝日新聞「知的障害者ではなく芸術家」。
一昨日の日経新聞同様、筆者は東大の松井彰彦教授です。
インカーブの特集記事を書いてくださっています。

松井さんの共著『障害を問い直す』(東洋経済新聞社)にも勇気と希望をいただきました。

20140410asahiS

http://incurve.jp/archives/shin_140410asahi.html

「あんた達(アトリエインカーブ)は自分たち(私を含めスタッフ)の
好きな事(アートやデザインをすること)がしたいから障がい者を利用してるだけや!
知的障がい者が相手やから出来るだけやがな!アートやデザインでお金儲けができるなんて、
そんな夢のような話しがあるわけないやろ!!」
10年近く前、講演会で登壇した私に客席から浴びせられた言葉です。
それも一人ではなく二人、三人と声があがりました。
後で聞いたら声を上げたみなさんはすべて福祉関係者。
言葉でもわかるようにすべて僕と同じ地元・大阪の方でした。

一番、気持ちをえぐられたのは「知的障がいが相手やから出来るだけやがな!」でした。
全身のチカラがふっと無くなるような感覚を覚えました。
逆をかえせば「知的障がい者」を利用してきた歴史がこの福祉業界にあるのだと理解ができました。
「そんな夢のような話し」も語る事ができない世界が障がい者福祉だと感じたことを覚えています。
今でもこのような批判は「一部」の「福祉関係者」から出ていると聞きます。
特に外部(デザイナーや俳優さんや)が福祉業界に目を向け、
支援の和を広げようとすると批判が生まれるようです。とてもとても残念なことですね。

一昨日の日経新聞に「障がい学×経済学」を研究されている東大の松井彰彦教授が
4つほどの団体と一緒にインカーブをフューチャーしてくださいました。
以前から松井さんの考え方に興味を覚えていました。
たまたまご縁が繋がりインカーブが出展しているアートフェアでお目にかかることができました。

「今、福祉に必要なのは経済原理であり、市場に必要なのは道徳原則である」
「福祉の市場化は道徳原理を市場原理に置きかえる事ではない。
道徳原理と市場原理を融合させるものでなくてはならない」

「一部」の「福祉関係者」からは松井さんへの批判もあると思います。
でも、潰さないでいださい。
少なくとも私は彼の著書や研究論文で勇気をもらい、リフレッシュしました。

20140408nikkeiS

http://incurve.jp/archives/shin_140408nikkei.html

「PARALLELS(パラレルズ)」

インカーブアーティスト寺尾勝広の「PARALLELS(パラレルズ)」展と
MoMA「20世紀美術におけるプリミティヴィズム-『部族的』なるものと『モダン』なるものとの親縁性」展。

二つの展覧会を絡めて、こんなこと思いました。

サンフランシスコのジャック・フィッシャー・ギャラリーで、
インカーブのアーティスト・寺尾勝広とCharles Fahlenによる
二人展「PARALLELS」がスタートしました。
ギャラリー・オーナーのジャック・フィッシャーの企画意図は
「時間的にも地理的にも全く異なる環境にいる二人のアーティストが並んだ時、
形式や潜在的な興味に類似点”PARALLELS(パラレルズ)”を感じてっていただきたい」ということです。
1
僕がPARALLELS(パラレルズ)というテーマで思い出すのは、
1984年9月27日から1985〜1月15日まで、ニューヨークの近代美術館MoMA)で開かれた
「20世紀美術におけるプリミティヴィズムー『部族的』なるものと『モダン』なるものとの親縁性」展
の企画意図と展示方法です。

吉田憲司さんが書かれた名著『文化の「発見」-驚異の部屋からヴァーチャル・ミュージアムまで-』
(1999年5月25日岩波書店)には、MoMAで開かれた上記の展覧会意図をこのように考察されていました。

「20世紀美術におけるプリミティヴィズムー『部族的』なるものと『モダン』なるものとの親縁性」展
の最大の問題点は、「モダン」なるものと「区別」される、「部族的」なるものが存在するという、
まさにその前提であったといわなければならない。

また美術評論家のマクェヴィリーの言葉を援用しながら。
「非西洋のそれぞれの社会において個々の作品がどのような目的でつくられ、
作者のどのような意図を反映しているのかはいっさい吟味されないままに、
形式上の類似性が、制作の動機が共通であるという主張に短絡的に結びついているというのである。
しかも、「親縁性」という言葉を拠り所としたこうした「モダン・アート」の作品は
「プリミティヴ・アート」の作品の組み合わせはきてめて恣意的なものであり、
この展覧会で展示するということを除けばなんら一対にされる理由のないものだという
(中略)西洋の作品にはその制作年代を表記する一方で、「プリミティヴ」な作品についての
年代をいっさいあげていない」

つまり吉田さんの主張は
「20世紀美術におけるプリミティヴィズムー『部族的』なるものと『モダン』なるものとの親縁性」展は
西洋と非西洋を区別し、西洋から一方的にみた非西洋の紹介だったことを明らかにされています。
また、それは西洋の上意を非西洋に下達する残酷な通達だったように思います。

他方、今回の「PARALLELS」では「西洋の上意を非西洋に下達する残酷な通達」はありませんでした。
事前にジャック・フィッシャー・ギャラリーのキュレーターがアトリエインカーブに訪問され、
寺尾勝広と会い、お気に入りの作品を購入し、インカーブの活動を真摯に聞き、
そして最終調整は連日のメール確認。丁寧なハンドリングが実って「PARALLELS」がスタートしました。

当然といえば当然のことですが「時間的にも地理的にも全く異なる環境にいる二人のアーティストが並んだ時、
形式や潜在的な興味に類似点”PARALLELS(パラレルズ)”」を見いだしたのはキュレーターです。
さて、今回の展覧会はキュレーターの意図通り二人のアーティストは「区別のない」同じ土俵で
展覧できたのか、それとも「西洋の上意を非西洋に下達する残酷な通達」としてお客さまに映ったのか?
展覧会が終わったら聞いてみたいと思います。
——————————————————–
PARALLELS
CHARLES FAHLEN & KATSUHIRO TERAO
2014年3月22日~4月26日
ジャック・フィッシャー・ギャラリー
http://www.jackfischergallery.com/
1-123

さくらとましろのチビT

今日は朝一からインカーブでデザインした「チビT」の撮影をしました。
作品をインクジェットでプリントアウト。
トリミングして、パッチワークのように手縫いをします。
定番の「大人T」とお揃いの「チビT」です。
インカーブサイトやhttp://incurve.jp/online.html
現代美術館のミュージアムショップで販売予定です。
乞うご期待いください!!

モデルは今中さくら(向かって左)と神谷ましろ(向かって右)です。

TIBIT

この人にお仕えしたい

人生で一度だけ「この人にお仕えしたい」と思えるデザイナーがいました。
そのかたはインテリアデザイナーの野井成正さんです。

野井さんの作品に出会ったのはデザインを学んでいた学生の頃。
約30年前のことです。
形や色を競う消費されるデザインではなく、
どことなく儚げで、繊細でした。

野井さんに恋文FAXを送りつけていました。さぞかし、ご迷惑だったと思います。

恋文の内容は「昨日、BAR川名(野井さんがデザインされた伝説のバー)にいってきました。
30ミリの木材で構成されたカウンターバック。漏れるホリゾント照明。
カンターと天井高さのバランス。JAZZとお酒……すべてが憧れのデザインです」

恋文作戦が実り、晩ご飯にお誘いいただけるようになりました。
20歳違いの僕にも優しく丁寧に「デザインとは」を教えてくださいました。
乃村工藝を卒業して、11年。
先日、久しぶりにお会いする事ができました。
相変わらず、気さくで、優しい野井さんでした。
「この人にお仕えしたい」と思えるデザイナーが野井さんでよかったと思います。

http://www.noi-shigemasa.com/profile/index.html
NOI1NOI2

前のページ 次のページページのトップ