今夜は愛知県立芸術大学でお話をさせていただきます。
昨年度から続く最終講演です。
東京芸大を皮切りに、金沢美大、
沖縄芸大(←スタッフの林智樹に代役をお願いしました)、
そして、今日の愛知芸大。
講演のテーマは、アトリエインカーブが
『アールブリュットに抗う、わけ-社会福祉の観点から-』です。
日本風アールブリュットが上陸(輸入かな)して何年になるんでしょうね。
あっと言う間に広まりました。
それも、ひん曲がった使い方を「よし」として、です。
一気に拡散した原動力は旧来の福祉団体のチカラ
(なぜ、大物政治家を動かすネットワークが、いち社会福祉法人や
団体にあるのか……私には謎です。黒っぽい噂はいろいろ聞きますが
……真意はわかりません)でした。
そのチカラは戦前・戦後のソーシャルアクション
(むかしは社会活動法なんていいましたが)のように
ラディカルな社会運動のようにも映ります。
「公民館やバザーで作品をみせるより、もっとええとこでみせたい、
アールブリュットって何となくかっこいいし、
美術館で展示できるチャンスが増えるなら、つべこべ考えんでも、ええがな」
と願う人を巻き込んでいきました。
他方、最近はアールブリュットというカテゴライズに
違和感をもつ学生君や福祉職員、美術関係者も増えてきました。
「なぜ、障がい者のアーティストをカテゴライズするの?意味あるの?」とか
「そもそも、アールブリュットは障がい者の作品を言うの?」とか。
『正しい、疑問』をもっていただいて嬉しい限りです。
しかし、当分はアールブリュットの風は吹き止むことはない……というのが
私の感想です。
厚労省や文化庁の委員会ではアールブリュットありきで話が進んでいます。
公的な美術館にもアールブリュットの名付けがされそうです。
きっと私が絡んでいる五輪芸術&教育委員会でも
「障がい者アートはアールブリュット。
そう名付けた方が分かりやすいし、団結しやすい。
かつスポンサーからの理解も得やすい」なんて話がでてくると思います。
当然、私は抗いますが……でもでもアールブリュットと名付ければ
補助金は取りやすいが、アールブリュットを拒否すれば補助額が少なかったり、
俎上にのらない、なんて現象も歴史を顧みればおこりそうですね。
私の主張はいたってシンプルです。
「アールブリュットという障がい者をカテゴライズする名称」は、明らかにした「スティグマ」。
スティグマとは「他者や社会集団によって個人に押し付けられた負の表象・烙印。
いわばネガティブな意味のレッテル」。つまり、ザ・サベツなのです。
今となっては、そのザ・サベツをザ・サベツだと思い図る余裕も関係者にはなく、
福祉業界のメインストリームを闊歩しています。
そして、一番やっかいなのが、その歪さを論じる福祉系の研究者がいないということです。
芸術系の研究者にはアールブリュットの原義を含め、擁護する派と否定する派が
ディベートする論文や講演会での発言が散見されます。
しかし、悲しいがなザ・サベツに抗うはずの本家本元の福祉系の論が弱い。
問いを立て、答えをさぐる研究という活動が進まないのは痛手ですね。
そんな実感を持っています。
連続講演は今夜で、最後。若い学生君にどのような波紋が起るのか楽しみにしています。
波風よ、立て〜なんて思っています。
(この連続講演は、東京芸大・金沢美大が文化庁の
「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」の付託を受け、
両大学にご協力する形でアトリエインカーブが参加しています。
貴重な発言の場を与えてくださった東京芸大・金沢美大には
心から感謝申し上げます。
事務方のみなさま、本当にご苦労様でした、今日で終わりですね、
ありがとうございました)

