東京芸術大学と金沢美術工芸大学、
そして愛知県立芸術大学、沖縄県立芸術大学で講演会を行います。
この講演会は私の小さなちいさな長年の思いを東京芸術大学の本郷教授と
金沢美術工芸大学の寺井教授が実現してくださったものです。
昨年に引き続き今年も開催されることになりました。
講演のポイント2点。
「障がいのあるアーティストの芸術を如何に支援するのか」と
「そのアーティストと同伴する芸術家を如何に育てるのか」です。
今年度は「この業界(アート×障がい者)」を席巻する
「アール・ブリュット」についてのディベート形式で展開されます。
アトリエインカーブは相変わらず「アール・ブリュットに抗う」立ち位置。
そして、反対の立ち位置(もしくは中庸な立ち位置)に1名〜2名の美術研究者を招いて
対論を行うというものです。
五輪エンブレム委員会でも感じることですが、
それぞれの立ち位置が明確なことはとても大切だと思っています。
ブレないことで賛同も非難もいただきますが、そのほうがいいように思います。
みんなで暮らしている以上「私はこう思い、こう考えます」って声にあげなくては、
そもそも、私は誰なのか、あたなは誰なのか、わかりません。
わからない相手とは握手することも、逃げ出すこともできません。
だから、その相手が恐くなるんだと思います。
インカーブは社会福祉法人を母体とする事業所です。
営利目的の事業所でも、民間のギャラリーでもありません。
かつ、スタッフは彼らの同伴者であり、制作者です。
物書きでも、研究者ではありません。
当然、論文を書く為に彼らを獲物として見ることもありません。
インカーブは彼らの福祉を担っている団体です。
そこがディベートする時のキモです。
立ち位置の違いで、思考も言葉も大違い。
こちらが主張する正義は相手にとって、愚かもしれません。
他方、相手の正義はこちらにとって妥協できない代物になる可能性もあります。
「アート×障がい者」の分野で、最も大切なことは彼らと同伴するスタッフのスキルです。
そのスキルはアートをみる眼力が長けている、だけでは、まったく不十分です。
つまり有名ギャラリストや敏腕学芸員がこん分野で意味のある人材になり得る、とは断言できません。
先述しましたが、この講演会は1.「障がいのるアーティストの芸術を如何に支援するのか」、
2.「そのアーティストと同伴する芸術家を如何に育てるのか」のとば口を見つけることです。
ぜひ、多くの学生君達の参加をしていただきたい。
そして、彼らの同伴者となっていただきたい、そう願っています。
東京芸術大学を皮切りに、金沢美術工芸大学、沖縄県立芸術大学、
来年の愛知県立芸術大学まで長期ロードが続きます。
(沖縄は以前から予定していたjobがブッキングしたのでスタッフの林智樹が遠征してくれます)。
まずは近日中開催の東京芸術大学の日時・会場をお知らせします。
◉東京芸術大学
日時:10月20日(火)、18時10分〜20時00分
会場:東京芸術大学 中央棟第5講義室
◉講演テーマ
「アール・ブリュットに抗う、わけ」-社会福祉の観点から-
(すべての講演は上記のテーマで行う予定です)
なお、この講演会を含む事業は東京芸術大学と金沢美術工芸大学が
「文化庁・次代の文化を創造する新進芸術家育成事業『障害者の芸術活動を支援する
新進芸術家育成事業とその育成を芸術系大学において行う基盤整備のための調査事業』」の採択を受け、
推進しているものです。アトリエインカーブは「協力」と言う立場で参画しています。
また、基本的に講演に参加していただけるのは該当する大学の学部生と院生です。