彼女のホウフ

16日は脇阪の誕生日でした。
私が乃村工藝社に入社した一年目に彼女は生まれました。
10年ほど前、ある図書館で拙著『観点変更』を手にとり、
紆余曲折あって、インカーブのスタッフになりました。
「できるだけ力まずに、インカーブの日常に身を
ゆだねていけたらと思います」が彼女のホウフです。

『公務員という仕事』

今朝、村木厚子さんから『公務員という仕事』(ちくまプリマー新書)が届きました。
「公務員はやりがいのあるいい仕事だ。一見地味ではあるが、
長い目で見れば、人の意識を変え、社会全体を変革する」と、カバーにあります。

オリパラ開催の中止を望む人は7割以上だと聞きました。
どちらでもいい、という人もちらほらいます。
これ以上、都の税金を使うな、コロナ対策に回せ!
おっしゃることはごもっともです。
でもご存知ですか?
オリパラの屋台骨を支えてくれたのは派手な広告会社のスタッフではありません。
都や地方から派遣された「公務員」だったのです。
数年に及ぶ激務をこなし、志半ばでオリパラを離れコロナ対策業務に移動になった方もいます。
身体を壊された方もいます。
きっと彼らはアスリートと同じように、
「人の意識を変え、社会全体を変革する」と願い精一杯働いたのです。
そんな「公務員」という裏方がオリパラ開催を夢見ていたということを
忘れないで欲しいと思います。
そしてまた、私はオリパラ組織委員会から「朝、早いですけど、東京までお願いします」っていう
お電話を首をながくして待っているのです。
がんばれ「公務員」!!

http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480683762/

ご報告です。
今日『アトリエインカーブ物語 アートと福祉で社会を動かす』が
河出書房新社から全国発売されました!!
11年前に書いた拙著『観点変更』の力みすぎていた言葉を刈り込み、
新たに「はじめに」と「あとがき」、「補論」を追加して文庫本になりました。
お時間がゆっくり流れているときにご笑覧いただければ嬉しいです。
カバーは東京2020オリンピック・パラリンピックの公式アートポスター制作の
アーティストの1人である新木友行さんの作品です。
オリとパラの選手が同時に走り高跳びをクリア。
インカーブが目指してきた社会のありようです。
また、カラー口絵には新木さんを含む4人のアーティストの作品を収録しています。

ご購入はこちらから。
特設Webサイト:http://incurve.jp/monogatari.html
ビブリオ インカーブ: http://b-incurve.jp/online/online_monogatari.html
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4309417582

◯日比野克彦(現代美術家/東京芸術大学美術学部長)推薦!
「先入観があるという先入観を捨てる」

「たくさんの人に出会い、学びの機会をえた。そして、捨てられ、捨ててきた。
残ったのは、デザインと社会福祉と仏教だった」。
知的に障がいのあるアーティストが集う場所「アトリエインカーブ」。
世界的評価の高いアーティストを輩出した工房は何のために、いかにして誕生したのか?
奇跡の出会と運命、必然が交錯した二十年の物語が幕をあける。

【目次】
文庫本のための「はじめに」
単行本版「はじめに」
第一章「一〇〇万人に一人」の、私は何者か
第二章「デザイン」とは何か
第三章「アカデミズム」の呪縛が解ける
第四章 なぜ、アトリエ インカーブは生まれたか
第五章 バイアスを解く
第六章 現代美術の超新星たち
第七章 アトリエ インカーブの展開
第八章「インカーブのようなところ」をつくる
第九章 社会性のある企て
単行本版「あとがき」
文庫本のための「補論」
文庫本のための「あとがき」
文庫本版 解説「静かで穏やかなこの物語を紡いでゆく」神谷梢

【著者】
今中博之(いまなか・ひろし)
1963年京都市生まれ。ソーシャルデザイナー。
社会福祉法人 素王会 理事長。
アトリエ インカーブ クリエイティブディレクター。
公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
:文化・教育委員会委員、エンブレム委員会委員等。
厚生労働省・文化庁:障害者の芸術文化振興に関する懇談会構成員、
障害者文化芸術活動推進有識者会議構員等。
イマナカデザイン一級建築士事務所代表。
金沢美術工芸大学非常勤講師。
偽性アコンドロプラージア(先天性両下肢障がい)。
1986年~2003年、(株)乃村工藝社デザイン部在籍。
2002年に社会福祉法人 素王会 アトリエ インカーブを設立。
知的に障がいのあるアーティストの作品を国内外に発信する。
ソーシャルデザインにかかわる講演多数。
グッドデザイン賞(Gマーク・ユニバーサルデザイン部門)、
ディスプレイデザインアソシエイション(DDA)奨励賞、
ウィンドーデザイン通産大臣賞など受賞多数。
著書に
『かっこいい福祉』(村木厚子さんとの共著/左右社)
『社会を希望で満たす働きかた─ソーシャルデザインという仕事』(朝日新聞出版)
『観点変更─なぜ、アトリエ インカーブは生まれたか』(創元社)など。
アトリエ インカーブ http://incurve.jp

【書誌情報】
著者:今中博之
装幀:坂野公一+吉田友美(welle desing)
装画:新木友行「走り高跳び」
発行:河出書房新社
定価:本体900円+税
河出文庫 文庫/304ページ
2020年7月7日 第一刷発行
978-4-309-41758-5 C0195

IN A QUIET PLACE

お友達からNEW ALBUMをお送りいただきました。
タイトルは「IN A QUIET PLACE」。
数年間かけて世界を旅し「音」を求めたTVプロジェクトがありました。
その映像も美しいけど、厳選された「静かな音」も愛らしく悲しげです。
お時間があえばお聞きください、ご覧ください。
TVプロジェクト https://www.the-listen-project.com/
ALBUM https://listenprojectrecords.com/index.php/en/

「ひとりひとりで、共に」

来月発売される拙著で熊谷晋一郎さん(東京大学)と対談をしました。
彼は、その中でフッサールの「ひとりひとりで、共に」の言葉を引いてくれました。
「ひとりでいる」ことと「共に」いることは背反することじゃなくて、
地続きなことで、「ひとり」でいることも「共に」いることも肯定されるべきだと。
べてるの家のスローガンは「自分自身で、共に」でしたね。
「共に」の前に、私は「ひとり」であり
「自分自身」の存在を凝視する態度にふかく頷きました。
平たくいうと「私がわたしでありながら、たくさんの人とつながる」と解してもいいと思います。
「共に」を強調すぎると根をはっていない木が連なった林ののように見えたりします。
木は「ひとり」で根をはって、隣の木の根っこと絡み合って土壌を固めるわけです。
そして根をはりやすいように土壌をならすのが微生物の役目。
社会福祉事情者も教育者も微生物であり続ける必要があるように思うのです。
そんなことを思いながらコロナ禍で中断していた「輪読会」をしました。

選んだ論文は、「対話による人間の回復:当事者研究と哲学対話」(河野哲也さん)です。
「対話は関心の同一性、すなわち、テーマの同一性を有しつつ、
それを違った観点から眺める態度に等しい。
こうした同一対象についての異なったパースぺクティブが
対話者どうしを結びつけている。パースペクティブが異なることで、
私たちは他者を理解するのである」。
私が他者と「共に」いることは「異なったパースぺクティブ」を欲するからであり、
自分の無力さを感じ、懺悔にも似た感情を呼び起こしたいからなのです。
それでも、私は、他者との壁を取り除くことはできません。
同一の水平線上に立つことは許されないように思うのです。
でも、それでよし。というのが今のところの着地です。

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