[おなじ釜の飯]プロジェクトと題した、有給のインターンシップ制度がスタートしました!!
 インカーブは、15年にわたって知的に障がいのあるアーティストたちの創作活動の環境を整え、彼らが作家として独立することを支援してきました。国内の美術館やギャラリーでは、展覧会が企画され、 国内外のアートフェアにも出展しています。
 15年もやっていると、全国から「アート支援の困りごと」が寄せられます。わたしなりに困りごとを分析すると、とどのつまり「障がいのあるアーティストを支援するスタッフに『アートやデザインの専門職』が少ないこと」にたどり着きます。
 一方、障がいのあるお子様のご家族やマスコミから、同じような質問を幾度となく受けてきました。「なぜ、インカーブ・ツー(二つ目のインカーブ)をつくらないのですか?」「土地と建物は何とかしますから、うちの子のためにインカーブ・ツーを作ってください!」。うれしいお言葉です、そんなにインカーブを好いてくれはって。でも「片手にアートとデザイン、もう一方の手に福祉の心をもつスタッフは、そう簡単に見つかるわけじゃないんです」「わたしの体力が落ちている今、インカーブ・ツーを作るために、新たに10人近いスタッフを育てるのは難しいんです」とお断りしてきました。
 でも、その無理だ!の観点を少しズラしてみました。ズラし方はこうです。「インカーブがスタッフを揃えるのではなく、アート・デザインと福祉を学ぶ/仕事にするあなたのお手伝いをさせて頂く」「一度に10人は無理でも1人ずつぐらいなら可能かも」。

 ということで「アート支援の困りごと」に応えるための「人づくり」をすることにしました。それがインカーブの[おなじ釜の飯]プロジェクトです。
 このプロジェクトでは、私たちスタッフやアーティストとおなじ釜の飯を食べながら、インカーブ独自の障がいのある方の創作活動の支援や、作品展示発表・作品販売などのノウハウをお伝えします。おなじ釜の飯を食べますが「ずっとインカーブで食べる/仕事をする」ことを意図していません。あなたの働く場所に帰って、インカーブ的アート支援方法を導入する、もしくは反面教師として活用していただくことをイメージしています。
 嬉しいことに2017年度(来年の3月まで)は、ご希望者でいっぱいです。そこで、2018年度(来年の4月以降)の募集を行いたいと思います。インカーブとおなじ釜の飯を食べてもいいよっていうみなさんのご応募をお待ちしております。

今中博之

募集要項

募集施設

社会福祉法人 素王会 アトリエ インカーブ(生活介護)


実施期間

2018年4月〜2019年3月の1年以内 *2019年4月以降の実施は未定です


募集人数

若干名


募集対象者

・現在、障がいのある方の創作活動に関わっている方
*働いておられる企業/施設との調整<休職等>が必要となります
 エントリーいただいた方の中で、書類選考に通過した方のみ、個別に相談させていただきます

・近い将来、アート系の福祉事業を起業したい方/就職を目指している方
・美大/芸大・福祉関連の学部や大学院などに在学中で、障がいのある方の創作活動を卒論/修論/博論の研究テーマにしている方


応募〆切

2018年度の募集は締め切りました。
*2019年以降の募集は未定です


[おなじ釜の飯]プロジェクトの内容

 アーティストとおなじ釜の飯を食べながら、創作活動をサポートし、安心できる環境づくりを学んでいただきます。
 そのために必要なノウハウを「実践と研究」の両面でお伝えしたいと思います。実践とは、アーティストの体調管理に始まり、声掛け、作品の管理・保管・市場へのアクセス方法です。研究とは、アートやデザイン、福祉領域で発表されている近時の論文や書籍を輪読し、論文化/レポート化していただくことをいいます。文章を書くことは、実践の反省を促し、他領域との接続方法を深めます。アート系の福祉事業には、熱い心だけではなく、冷静な頭が必要だという思いから自主トレーニングを兼ねて研究活動を推奨しています。
 つまり、[おなじ釜の飯]プロジェクトとは、インカーブのスタッフが行なってきた仕事の進め方と、その方向を見定めるための勉強の方法をお示しすることです。また、プロジェクト期間中に国内外のアートフェアやシンポジウム・講演会があれば、同行していただくこともあります。


[ アーティストとの日常業務 ]

・介助、体調管理、お声がけ、など生活全般の支援


[ アーティストの制作環境の整備 ]

・アーティストの制作に関わる画材やモチーフの準備


[ デザイン業務 ]

・完成した作品の管理、作品撮影
・グッズ制作、在庫管理


[ ソーシャル デザイン ]

・国や行政への提言
・展覧会、講演会の企画・運営・設営


[ 自主トレーニング ]

・論文や書籍の輪読
・論文化/レポート化

*インターンの時期により内容に変更があります


労働条件

勤務日

火曜日〜土曜日 (月曜日不定休 / 日曜日・祝日休み / 月8回休み)

勤務時間

9:30〜17:00(休憩時間 12:30〜13:30)
*採用された方の状況に応じて、就業期間、勤務時間などは調整させていただきます

給与

時給900円

食費

昼食代1食 実費720円自己負担

交通費

月額7,000円(税込)まで支給

住居費

自己負担




選考方法とスケジュール

①書類選考

Webサイトからエントリー(書類選考させていただきます)
*選考の結果は2017年11月以降にお知らせいたします

⬇︎

②面接

*履歴書(写真貼付)・職務経歴書(書式自由)をご持参下さい
*1~2回程度を予定しております

⬇︎

③インターン採用

採用された方は、時期などご相談させていただきます

⬇︎

④インターン・スタート

調整した日程でインターンを実施

⬇︎

⑤終了・報告書提出

インターン終了後、報告書をインカーブに提出




参加者の声

第3期

棡葉 朋子さん
社会福祉法人 やまなみ会 やまなみ工房

障がいのある方と係わる「きっかけ」を教えてください。

私は滋賀県甲賀市にある、やまなみ工房で働いて10年目を迎えます。 (甲賀市には、最も長い歴史のある障がい者施設「近江学園」があります。) 母の仕事をきっかけに福祉の短大に通い、卒業後21歳のときに、ご縁があってやまなみ工房で働くこととなりました。 正直、はじめは戸惑いもありました。しかし、やまなみ工房のアーティストたちと日々過ごす中で 「あるがままの自分でいい」「あなたはあなたらしく」と、自信や勇気をもらいました。 いつも笑って周囲を幸せにする力、見返りを求めず差し伸べることのできる優しさ、人としてとても大切なことを教えてもらいました。 「福祉・障がい・アート」まだまだ分からないことも多いですが、アーティストたちと一緒に過ごす時間は、 私の人生を大きく変え、夢や希望・生きる喜び・自信を与えてくれています。

   

福祉の問題で一番関心のあるテーマは何ですか。

私の関心のあるテーマは、【社会と福祉との接点】です。 もし私が福祉について興味を持たなければ、「福祉」「障がい者」について関心を持つことはあったのだろうかとふと感じることがあります。 学校で「福祉」について教育を受けることもなく、障がいのある方と関わることもなく大人になる人がほとんどだと思います。 ここ最近、テレビや新聞等で「障がい者だけどすごい」「素晴らしい障がい者芸術」など、色々な言葉で発信されています。 そこにある驚きや感動のなかには、まだまだ「偏見」や「差別」の気持ちが存在しているのも現実です。 障がいの原因は人と人との間、社会の側にあります。「知的・身体・精神に障がいがある」ことが障がいなのではなく、 安心して出かけられないことや、社会の中で自分らしく過ごすこと、自分の好きなことを活かす場所や機会が得られないことが、障がいだと思います。 私たちが福祉の最先端となり社会を変える意識を持ち、障がい者を取り巻くさまざまな状況に対して正しく伝える努力や想いの大きさがすべてを変えるのだと思います。 今まで機会がなかったから接し方が分からなかった人との橋渡しになっていくことが、私たちのお役目だと思っています。

   

なぜ釜飯プロジェクトに参加しようと思ったのですか。

インカーブのアーティスト・スタッフ・建物。どの角度から見ても「福祉」という概念はなく、「かっこいい」。 アーティストの制作環境や展覧会の企画・設営・接客など、ひとつひとつアーティストにスタッフが真剣に向き合い、そこには敬意が存在しています。 インカーブの方針である「普通なしあわせ」という言葉は、私たちやまなみ工房も大変共感している言葉であり、日々大切にしていることでもあります。 同じ目標を抱いている中で、実際のアトリエでの環境・作品の生まれ方・展覧会に対する想い・アーティストに寄り添うスタッフとして気をつけていることなど、 さまざまなことを学びたいと思いました。自分にとっても、やまなみ工房にとってもよい機会になるよう頑張りたいと思っています。

   

第2期

白井 諒 さん
株式会社リカバリーサポート 陽なたぼっこ

障がいのある方と係わる「きっかけ」を教えてください。

昔から子供のことが好きでした。前職の同僚のお子さんと仲良くなる中で、児童の支援に興味を持つようになりました。 そんなときに、縁あって今の上司から障がい児の支援をしてみないかと声をかけられたことが「きっかけ」です。 現在は障がい児(者)の支援を、より深い知識と心をもって取り組みたいと思っています。

   

福祉の問題で一番関心のあるテーマは何ですか。

今、関心のあるテーマは、自閉症児とのかかわりです。きっかけはある一人の少年でした。 重度の自閉症で、はじめは近づくことも難しかったのですが、一年以上、時間をかけて少しずつ心を開いてくれるようになりました。 私自身、つらい時期を心ある人の支えにより乗り越えられたことも影響したのでしょうか。 彼らの世界に入り、外の世界との橋渡しをしたいと強く思うようになりました。 今後はより学びを深め、一人でも多くの自閉症児の心の支えになりたいと思っています。

   

なぜ釜飯プロジェクトに参加しようと思ったのですか。

縁あって、代表の今中さんとお話しをさせていただく機会がありました。今中さんの信念をスタッフの方が形にしている。 だからこそ、アーティストのみなさんが安心して制作に取り組むことのできる空間がある。そんな力強いサイクルを感じました。 そのサイクルの中で学びたい、いずれは自身でもそんな空間をつくりだしたいと思い、参加しようと思いました。

   

おなじ釜の飯プロジェクトを終えて

 インターンに来させてもらうまでは、仕事の内容はとても専門的で、作品の展示や販売などアートのことが中心になるのかと思っていました。また雰囲気も緊張感のある場所かな、というイメージがありました。
 実際にインカーブに来て感じたことというのは、まずとても穏やかな雰囲気であるということでした。作品についての評価などはなく、制作も制作をする時間も自由で、描きたいときに描く、休みたい時に休む、というアーティストの意志を尊重したスタイルでした。スタッフの方もただ自由にしてもらうということではなく、アーティストのペースを尊重しつつも変わった点がないか注意深くケアをされていました。
 華やかな展覧会などの背景には、細やかな配慮が散りばめられたアーティスト中心の日常生活があるのだとわかりました。
 その反面、最初のイメージにあった作品の展示や販売に対する部分では、想像通りの専門性を感じました。展覧会の準備として、京都にあるギャラリーの設営に少し携わらせていただいた中で、印象に残ったのはスタッフの方の熱意でした。アーティストが描かれた作品の魅力を最大限に引き出す努力、そのことに一切妥協しない姿勢に心打たれました。
 またインターンで来ている私に対してもとても暖かい雰囲気で迎え入れてくださり、忙しい中も気にかけてくださっていました。スタッフの方と関わりを持たせてもらう中で、「障害があるから優しくする、ケアをする」ということではなく、誰に対しても分け隔てなく自然に接しているので、暖かく、どこかホッとするような穏やかな空気感が漂っているのだと感じました。
 学ばせていただいた感謝をどうお返ししたらと思っていますが、教えていただいたことを忘れず、また次の方に感謝の気持ちを持って受け渡していきたいと思います。本当にありがとうございました。

   

第1期

久世 恭詩 さん
株式会社リカバリーサポート 陽なたぼっこ

障がいのある方と係わる「きっかけ」を教えてください。

私自身が20代の頃に障がいを抱えたことです。私の場合は、目に見えない障がい(内部障がい)だったので、障がいを自覚するまでに時間がかかりました。「いつも、何か周りとは違う」という意識がありながら、それが何かわからないまま時間が過ぎていきました。民間の社会復帰施設を利用しながら、学業を終え、卒業後はその施設の職員として働くようになりました。私自身が障がいを抱えていることで、障がいのある方と係わることになりました。現在は、障がい福祉サービス事業の訪問介護と地域生活支援事業の移動支援サービス事業所を立ち上げ、管理者として勤務しています。また最近、有志で子供食堂をはじめました。2017年12月には、放課後等デイサービスを開設する予定です。

   

福祉の問題で一番関心のあるテーマは何ですか。

現在、分離教育が一般的で教育・地域活動等は、障がい児童と健常児童は別々に分けられています。それを、つなぐことが、私の関心のあるテーマです。その接着剤は「ご飯」と「アート」です。子供食堂を通して、集まった児童達と(障がい者・健常者関わらず)一緒にご飯を作り、アート活動を行う。ご飯作りは人生を生きていく力のために、アート活動は人生を活きていく力のために必要です。2つの活動を一緒に行うことは、障がい者や健常者という違いではなく、「そもそも人間とは、何か」を考える機会になると思います。将来は、障がい児童と健常児童の中から「アーティスト」の原石を見出し、自らの力で生計が営めるように支援したいと思います。

   

なぜ釜飯プロジェクトに参加しようと思ったのですか。

インカーブのアーティストは、笑顔がとても素敵で生きいきしています。インカーブに一歩入ると、あちこちからアーティスト達の笑い声が聞こえます。他方で、作品作りに没頭しているアーティストもいます。自分の好きなことを自由に表現できるからこそ、その生きいきとしたパワーが生まれるのだと思います。このパワーの源泉はどこにあるのか。インカーブのスピリットはどのようなものなのかを知りたい。少しでも、そのスピリットをおすそ分けして頂きたい、学ばせて頂きたいと思いました。釜飯プロジェクトは、一世一代の大チャンスだと感じています。

   

お申込み

2018年度の募集は締め切りました。
2019年以降の募集は未定です。

お問合せ

社会福祉法人 素王会 アトリエ インカーブ
受付時間: 火曜日~金曜日(月曜不定休 / 日曜日・祝日休み) 10:00〜17:00
info@incurve.jp
06-6707-0165
担当:丸岡

Tomoyuki Shinki © atelier incurve