はじめに
そもそも壁は二つあります。それは、「壊すべき壁」と「自分を守ってくれる壁」です。壁をゼロにしたからといって
政府は、近年「様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合う心のバリアフリー」に取り組んできました。小学校では二〇二〇年度から、中学校では二○二一年度から、高等学校では二○二二年度から「心のバリアフリー」教育が実施されます。
でも、大きな心の壁は、
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インカーブを運営する私には、一○○万人に一人といわれる先天的な身体障がいがあります。今ではその障がいは両手・両脚に及び、杖があれば数十メートル程度は歩けますが、それ以上になると車椅子や車を使っています。私は、一つ目の大学を卒業してから、インハウスデザイナーとしてショールームや博覧会の空間デザインを担当してきました。その後、障がいが進み、
現在では、東京2020オリンピック・パラリンピック公式アートポスター制作者の一人であるアーティストや国内外のアートフェアに出品する
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もし、あなたが壁をゼロにしなければならないと本気で思っているなら、それは違います。壁をゼロにすることだけが正解ではありません。目の前の大きな壁の中に籠ってもいいし、顔だけ見えている高さの壁を用意してどっちつかずの宙ぶらりんを決め込むことも悪くない。自分の力で壁をコントロールできると思い上がるのか、それともコントロールなんてはじめからできっこないと諦めるのか。どちらの手も、ないことはない。私が壁の中で考えた「共生」は、お互いの苦しみを分けあう「
二〇二〇年大暑 今中博之
著者プロフィール
今中博之 Hiroshi Imanaka
1963年京都市生まれ。ソーシャルデザイナー。社会福祉法人 素王会 理事長。アトリエ インカーブ クリエイティブディレクター。公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会:文化・教育委員会委員、エンブレム委員会委員等。厚生労働省・文化庁:障害者の芸術文化振興に関する懇談会構成員、障害者文化芸術活動推進有識者会議構成員等。イマナカデザイン一級建築士事務所代表。 金沢美術工芸大学非常勤講師。偽性アコンドロプラージア (先天性両下肢障がい)。
1986年〜2003年、(株)乃村工藝社デザイン部在籍。2002年に社会福祉法人 素王会 アトリエ インカーブを設立。知的に障がいのあるアーティストの作品を国内外に発信する。ソーシャルデザインにかかわる講演多数。グッドデザイン賞(Gマーク・ユニバーサルデザイン部門)、ディスプレイデザインアソシエイション(DDA) 奨励賞、ウィンドーデザイン通産大臣賞など受賞多数。
著書に『アトリエ インカーブ物語 アートと福祉で社会を動かす』(河出書房新社)、『かっこいい福祉』(左右社)、『社会を希望で満たす働きかた - ソーシャルデザインという仕事』(朝日新聞出版)、『観点変更-なぜ、アトリエ インカーブは生まれたか』(創元社)などがある。

