時々、
カメラをもってアーティストが制作している部屋をのぞいてみる。
画用紙のうえを注意深く鉛筆を走らせるひと。
ソファーでくつろぐひと。
できあがったばかりの作品をもって近づいてくるひと。
「さかいさん、きょうは何の写真撮ってるのー?」と声がかかる。
「なんとなく撮りたくなったからー」とこたえながら、
アーティストの机のうえの些細な変化を見つけようと観察する。
机のうえに置き去りにされている作品にはっとさせられる。
あたらしいような、なつかしいようなきもちになる。
このきもちをことばでたとえることはむずかしいけれど
アートがうまれる現場で、
ささやかながらだれかの役にたてていると実感する大切な瞬間だ。
1975年生まれ。
芸術大学美術学科にて絵画専攻。
社会福祉士、学芸員。
講演歴
2017 甲南大学人間科学研究所 公開講座